学生からのメッセージ

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卒業生のメッセージ

2020年セゲド大学医学部卒業 斉藤千宙さん

1.医師国家試験に合格し、日本で医師として活躍する夢が実現しました。現在の心境を聞かせてください。(ハンガリーでの留学、国家試験の勉強を振り返っての感想など)
とりあえずほっとしたというのが今の正直な気持ちです。今年度はコロナウイルス流行のため、前例にないことばかりでハンガリーの国家試験もやっとのことで終わって帰国したと思ったら、次は日本の国家試験の勉強のために予備校に通い始めたり、マッチングの準備や日本語診療能力調査の対策など、次から次へと慣れないことばかりで、本当に大変でした。ストレスのせいか国試2ヶ月前くらいになって体調を崩してしまい、そこから国家試験当日まで本当に辛かったのですが、家族をはじめ、周りの方々のサポートのお陰でなんとか乗り切ることができました。ハンガリーでの7年間と日本での半年間の国試勉強、今までの努力が結果に結びついて本当に嬉しく思います。大学在学当時はあれだけ日本に帰りたかったのに、今となってはセゲドに戻りたいなと思うこともあります(笑)これまでの辛かった経験、苦労した経験は今後医師として働く上で、どこかで必ず役に立つときがくると思います。これからは1人の医師として自覚を持って、社会に貢献できるよう頑張っていきたいと思います。
2.ハンガリーの医学部への進学を決めた理由は何ですか?
もともと高校在学中から日本の医学部を目指していたのですが、と同時に海外留学にも興味がありました。高校2年生の冬頃、父親から渡された医学部雑誌(週刊朝日MOOK)に掲載されていたハンガリーの医学部の記事を見つけ、英語で医学が学べるなんて私がしたいこと両方を叶えることができると思い、まずは父親と一緒に説明会に参加することにしました。しかし、当時はまだハンガリーの医学部を卒業して日本の医師免許を取得した人がいるという実績もなく、経済的な面でも両親はハンガリーの大学進学に対しては否定的でした。それでもとにかく日本を早く出たかった私は両親を説得をして、なんとかハンガリー留学に賛成してくれることになりました。今となっては運良くハンガリー政府奨学金をもらえたおかげで、学費が6年間かからなかった上に生活補助のお金までもらえて、日本の医学部に行くより経済的に良かったのかなと思います(笑)。
3.医学部在学中は、普段どのように勉強をしましたか?
私は低学年のうちは学校の授業のあとスタディールームに行って勉強をするようにしていました。スタディールームには同級生だけでなく、先輩方ともお話ができるので、勉強の方法や試験の経験談などを教えていただいたり、ノートや資料もいただけたりと役に立つ情報を得る場としてもとても良い場所でした。3年生のときは自分のアパートで引きこもって勉強することが多かったです。レクチャーで使われるスライドの量がとても多く、他のテキストなどはほとんど使わず、レクチャースライドをベースに勉強しました。4年生以降は気持ち的に少し余裕ができたので、カフェで試験勉強をすることも増えました。6年生では、日本での国試対策を見据えて、何か早めにできることはないかと思い、事務局から紹介された予備校の教材を購入して、大学の試験勉強と並行してやっていました。
4. 勉強面・生活面で苦労したことを教えてください。
勉強面で苦労したことは、やはり最初は英語での授業で教授が言っていることが聞き取れず、理解できないこともありました。そのときはスライドやテキストを読んで理解するようにしました。英語での口頭試験も最初はなかなか慣れませんでしたが、大事なキーワードであったり要点さえつかんでいれば、短い簡単な英語でも良いグレードが取れるんだなと分かりました。(試験官の先生方も英語のネイティブスピーカーではないので(笑))生活面で苦労したことは、一番は食べ物でした。観光地であるブダペストには様々な種類のレストランやカフェがあります(日本食のレストランもいくつもあります)が、セゲドは小さい街なのでレストランやカフェの種類もあまりなく、飽きてしまい、何を食べればいいかわからなくなるときもありました。でもその分、セゲドには自分たちで日本食を作ったりなど色々工夫する料理上手な学生が多かったと思います。
5.英語で授業を受けることに不安はありませんでしたか。
私は帰国子女ではありませんし、大学受験英語しか勉強していませんでしたが、正直そこまで不安はありませんでした。英語という科目がもともと好きだったのもありますが、教える先生方も英語のネイティブスピーカーの方はほとんどいないので、ゆっくり話してくださることが多く、また周りに友達もいるので、聞き逃したところや分からなかったところは授業の後に友達に聞いたり、自分で後でインターネットで調べたりしていました。ただ大学が始まって最初は、英語圏ではない国からきている学生でも普通に流暢に英語を話す人が多くてびっくりしたのは覚えています(笑)。なのでクラスメイトと普段から会話することで、自分の英語力も向上することができました。
6.ハンガリーに行って良かったことを教えてください。
ハンガリーに行って良かったと思う点は3つあります。まず1つ目は、様々な国から来ている友達を多く作ることができたことです。日本の医学部に進学していたらここまで外国人の友達を作ることはできなかったと思います。様々な国の文化や価値観に触れることができ、自分の考え方や物事の見方が広がったと思います。2つ目は積極性を身につけられたことです。日本の学生は授業中に積極的に質問したり発言したりする人は少ないと思います。しかし、留学生が多く集まるハンガリーの医学部では、ほとんどの学生が恥ずかしげもなく積極的に発言したり行動をおこしたりしていました。私もそのような同級生たちを見習って、積極的に発言や行動をしてみようという考え方に変わりました。3つ目は英語力を向上させることができたことです。日本の国試勉強をしていて気づいたのですが、日本の医学部の学生は医学英語を知らない人が想像以上に多いです。近年は日本の国試でも英文の問題が出題されます。その点で、英語で医学を学んだハンガリーの学生はかなり有利だなと思いました。
7.ハンガリーの医学部を卒業するために必要なことは何だと思いますか?
試験を終わらせるためのモチベーションと諦めない粘り強さだと思います。私は毎回試験のとき、日本に帰ることをモチベーションに勉強をしていました(日本のご飯が恋しかったので笑)。もちろん最終的な目標は医師になることですが、ずっと先のことよりも試験が終われば日本に帰れるというすぐ目の前のことをモチベーションにすることで、大学6年間という長い間もやる気を損なうことなく、ストレートで卒業できたのだと思います。もちろんすべての試験が一回でパスできたわけではありませんでした。3年生の前期のパソフィジオロジーは3回目まで行きました。日本になかなか帰れないし、本当に勉強が辛かったのですが、そこは諦めずに粘り強く淡々と勉強を続けたお陰で後期に持ち越すことなく終わらせることができました(やはりここでも日本に帰るというモチベーションがあったからこそ諦めずにやれたのだと思います)。あともう1つ大切なのは、やはり友達の存在だと思います。海外で1人で暮らすのは簡単なことではありません。一緒に勉強したり、一緒にご飯を食べたり、一緒に遊んだりする友達は楽しく海外生活を過ごしていくのに必要不可欠だと思います。何事も楽しくなければ続けられませんから。
8.ハンガリーの医学部に入学を検討している方にメッセージをお願いします。
これから先ますますグローバリゼーションが進んでくると思います。それは医療にも言えることです。外国人患者の増加に伴い、さらに多くの英語ができる医師や海外経験のある医師の需要が高まると予想されます。また私は今回コロナウイルスの流行が始まった頃ハンガリーにいました。そこで海外の国がどのようにパンデミックに対応していくのかを身をもって経験することができました。このように日本を出て初めて経験できること、感じられることはたくさんあります。なので、一度きりの人生色々なことを経験したい、チャレンジしたいと思う方は海外の医学部に行くという選択肢もありだと思います。私はこれから日本で研修医として働きはじめますが、この後続く後輩のためにも、ハンガリー出身の医師は優秀だと思われるよう、頑張っていこうと思います。