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卒業生のメッセージ

2015年セゲド大学医学部卒業 三苫智裕さん

1.ハンガリーの医学部への進学を決めた理由は何ですか?
将来国際的に活躍できる人になろうと決意し、英語で専門的な学科を勉強したいと考えていました。
その時に医師になるという夢、費用面、海外生活への憧れ、英語で学びたいということ、すべてが合致していたため海外の医学部への進学を決めました。
2.医学部在学中は、普段どのように勉強をしましたか?
特に難しい解剖や、生化学、病態生理、病理に関しては、毎回とは言わないまでも復習を授業があるごとに実施し、ノート作りには特に注意を払いました。
教科書はかなりの数がありますが、一番重要なのは1つの教科書をやり遂げることだと途中で気づき、もしも読んでいてわからないところがあればインターネットを使いながら効率よく勉強しました。
また、情報共有は非常に大事です。友達と休み時間、移動時間、食事時間等を使い、何をどのように勉強しているのかを特に注意しながら話していました。試験前になると、問題の出し合いやさらなる情報交換(テストに出やすい、他の先生はこう言っていた等)につながるため非常に友達との会話や時間は役に立った。
その他、MTOと呼ばれる中間試験が各教科1週間ごとにあるため、1週間毎に違う教科を重点的に復習・テスト対策をしました。
学期末の試験では、受ける科目の順番や勉強方法がそれぞれ違い、自分で決めなければいけないため、友達と話しながら、情報共有し“作戦を練って”計画的にこなしていました。
3.勉強面・生活面で苦労したことを教えてください。
自分自身を律するということは、第一にしなければいけないと思います。
勉強するにも、息抜きをするにも、授業に行かないのも自由です。日本の大学も一緒と思いますが、ハンガリーでは顕著に授業に来る人、来ない人の成績の差があったと思います。モチベーションを維持することは大変です。
4.ハンガリーに行って良かったことを教えてください。
違う国、地域の文化に直に触れることができ、国際色豊かな友達が作ることができることは、良い点です。表面的ではなく、一緒に辛い勉強を耐えた友達ですから、2年経った今でも連絡をし、それぞれの医療や私生活に関するや情報を交換することができます。
英語で医学を学ぶことにより英語も上達しました。友達と共に過ごすことで日常英会話もかなりうまくなります。 精神的な面で言うと、どのように緊張とプレッシャーをマネージメントするのか、そして絶対にあきらめないという強い心が鍛えられます。すごく曖昧な表現ですが、今振り返ると6年前・7年目とは自分の中のこういう面がすごく違うと感じます。
最後に社会人になったからでしょうか、感謝という言葉の重みを感じることができるようになったことです。もっと前に思うべきでしょうが・・・。
5.ハンガリーの医学部を卒業するために必要なことは何だと思いますか?
一番必要なことは、”自分自身”が本当に海外で生活をし、医師という特殊な職業に就きたいという“熱い”気持ちがあるかだと考えます。
その気持ちをマネージメントするためには、どのようにさまざまなプレッシャーを打ち破って自分をコントロールするかは必然的に重要になってくるのではないでしょうか。
プレッシャーにはテストで落ちてしまうかもという気持ち、日本には箔なしでは帰りたくないという気持ち、友達には負けたくないという気持ち等とさまざまなものがあると思います。いつまでもくよくよするのではなく反省すべき点は修正し、すぐに次のステップに進むことが大事だと思います。 その中には自分を律する、コントロールするということが重要になってきます。ホームシックや本当に医師になれるのかという不安を自分にあった解決策で打開することはモチベーションを維持するのにも非常に重要です。
また、よい医療人としても大切な、人と人とのコミュニケーションも“ハンガリーで生き抜く”一つの重要なツールだと思います。積極的に交流をはかり、充実した時間を過ごすことは英語の上達にも繋がりますし、必要な情報の習得、自分自身のメンタルケアにもなります。
最後にまたメンタル的な答えになるのですが、負けず嫌いという気持ちも重要なんだろうなあと後輩を見ていて感じました。同期や後輩が残念ながら日本に帰国することを何度も見送りましたが、非常に胸が苦しくなる思いでした。試験では容赦なく落ちますしメンタル的にも厳しい場面も多々有ります。いつ決断を下すかは自分で決めることができます。
6.日本の医師国家試験対策の学習で大変だったことは何ですか?
勉強にも私生活にも段階があります。 まずは日本語で医学を学び始めるということ、英語ではわかっていてもじゃ通用しないので・・・。そこが最初に苦労します。解決方法としてはインターネットですぐに調べることができる環境を整えることだろうと思います。
次に、知識的に足りない面。日本の医師国家試験は現在非常に臨床に特化した問題が多い印象を受けます。臨床でしかわからない手技の方法や診断までの流れ、他科連携などはハンガリーでの勉学ではわかりません。また、全体的に聞かれることもあり、解剖を総復習し、病態生理を再度頭の片隅から持ってくるのは時間と労力が必要になります。
最後に、情報をどう取り入れるか・勉強の計画をどう進めていけばいいのかです。 日本の学生は、ビデオ講座という強い味方があります。医学部自体も早い段階から計画をたてて勉強をさせています。 何をどのくらい、いつまでに、どのように勉強するかを計画立てて実行するのは、モデルとなるカリキュラムや人の経験談が必要でした。 友達を作り、そのような情報を交換するのは案外大変で、いきなり日本の医学部の学生と連携を図るのは難しいと感じました。 しかし、最後の試験前にメンタル的にも知識としても日本の医学部生とともに過ごすことはかなりキーポイントだと思います。
私生活では、仕事をしながらといこともあり、勉強時間をいつどのように確保するのかは苦労しました。8時-17時の定時として、朝早く起き2時間・夕方の3時間、計5時間を確保するのが精一杯でした。1年早く帰って来て、1年多く勉強する時間があったというプレッシャーも人の倍はありました。
7.医師国家試験に合格し、日本で医師として活躍する夢が実現しました。現在の心境を聞かせてください。(ハンガリーでの留学、国家試験の勉強を振り返っての感想など)
アメリカへの語学留学・予備コース・医学部6年・国家試験と今思えば時間は短く感じます。しかしここまで来るのに費やした労力とお金は莫大なもので、精神的にも支えてくれた方々に感謝の気持ちで一杯です。
10年間抱いていた夢が達成されたという晴れ晴れした気持ちではなく、次に来る自分のキャリアや目標に対する期待と不安の方が大きいのが現状です。
医師の先生方を始めとする医療関係者の方々とお話しする機会があると必ず「一生の財産となるようなよい経験をしたね」と言われますが、私の中ではよい経験だけでは終わらしたくないという思いがあります。
私自身が何かを成し遂げたということではなくこの10年間のさまざまな人と出会いによって何をすべきなのかを自覚できるようになったのが一番の財産かと考えます。
8.ハンガリーの医学部に入学を検討している方にメッセージをお願いします。
決して楽ではありませんが、難しい道でもありません。だけど、どのような形でも結果を残さなければいけないと思います。そこには自分自身で必ず医師になると言う気持ちが大事です。
もちろん留年・退学なくして卒業することが一番良いのかもしれません。しかし、良い決断をすることの方があなたの人生にとって重要です。もしもそのような状況になった時は思い詰めずに今一番したいことを突き詰めていく方向に進むのがロングスパンで見た時に大事です。気持ちは日々変化します。誰かに相談し、よく調べるということはハンガリーで生き抜くツールです。