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センメルワイス大学:今年度のセンメルワイス・ブダペスト受賞者を発表トピックス一覧

Dr. Stefan W. Hellは、超高解像度の蛍光顕微鏡の開発者として知られており、2016年のセンメルワイス・ブダペスト賞を受賞しました。ノーベル賞受賞者であるDr. Stefan W. Hellは、センメルワイス大学の国際的にも最も権威のある賞を学長のDr. Ágoston Szélから受け取りました。

 

学長のDr. Ágoston Szélは開会の挨拶において「センメルワイス・ブダペスト賞は、2009年に大学の委員会によって設置されたもので、自然科学の分野において世界的に認められている科学者に対し、その研究が人類に有益で生物を知る新たな手法であることを評価し、贈られるものです。Dr. Stefan W. Hellの推薦は、センメルワイス大学の委員会において満場一致で決まりました。」と述べました。

 

Dr. Stefan W. Hellは、授与式の時に設けられた集会において次のように述べました。「センメルワイス大学から名声のあるこの科学賞を受賞することができ、大変光栄です。そして私たちは、イグナーツ・センメルワイスが生前中には評価されなかった人類にとって重要で先駆的発見をした彼の功績を思い出さなければいけません。私は、幸運にも長年の努力の結果、私の研究成果が認められましたが、私がこの講演を行う理由はイグナーツ・センメルワイスの名誉のためです。」

 

Dr. Stefan W. Hellは、顕微鏡イメージングにおける発見によって突破口を開きました。新しいタイプの超高解像度のナノ顕微鏡を開発したことによって、研究者が細胞や組織を検査する上で今までよりさらに細部まで見ることができるようになりました。授与式の講演において、Dr. Stefan W. Hellは、“光学顕微鏡:解像度の革命”というタイトルで彼の発見や研究について紹介をしました。

 

この発見の最重要点は、いわゆる回折限界(光学顕微鏡の限界解像度)を超えることで、この発見により、他の2名の研究者であるDr. Eric Betzig とDr. William E. Moernerと共に2014年にノーベル化学賞を受賞しました。3名は異なる手法を用いましたが、それぞれが今までは不可能と言われていた回折限界を超えることができました。この功績により、ナノ顕微鏡の技術的基礎が確立しました。

 

20世紀においては、波動光学の物理法則上、可視光を用いる顕微鏡は、200~400ナノメートル以下の観測ができないと一般に広く受け入れられてきました。Dr. Hellの講演では、観測対象に蛍光物質を結合させることによって波動光学の物理法則を回避し、回折限界を突破した発見について紹介しました。超高解像度顕微鏡の中でDr. Hellの方式に直接結びついているものがSTED(Stimulated Emission Depletion:誘導放出抑制)と呼ばれる顕微鏡です。

 

ノーベル賞受賞者の発見による特別な顕微鏡の開発は、研究者が生きた細胞の分子構造を洞察することや分離細胞の動きを同時に観察する研究を進めることができます。ナノ顕微鏡のおかげで研究者は、例えば神経細胞中の分子接続を観察したりなど生きた細胞の個々の分子を見分ける機会を得ることができます。