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センメルワイス大学:「世界水準」をリードするハンガリーにおける外科学・外科手技教育トピックス一覧

2016年3月8日にセンメルワイス大学で医学部3年生に講義をし、外科基本手技の実習に参加してきました。講義は外科カリキュラムの1コマで、外科の手術適応、術前管理、アプローチ法(開胸・開腹法)についての講義でした。ここで感じたのは、学生の知識量の豊富さです。1~2年生で勉強した解剖・生理・生化学は細部まで鍛えられていることと、病気に関連付けて把握されています。また、3年生前期での病理学で疾患のメカニズムや概念を講義・テストされています。私は、講義のスライド(パワーポイント)を見ただけで勉強できるように、外科講義の前提条件となる用語の解説などを整理したものを準備しました。日本の医学部生を想定して準備しましたが、思ったほど用語の解説は必要なかったようでした。一般化された知識の羅列となりがちな机上の勉強を、もっと具体的に感じられるような工夫があったほうが良いと感じました。いきなり症例を紹介しながら問題点を提示して、一般化した知識へ整理するような工夫をしたほうが、センメルワイス大学の学生にはあっていたのではないか、と感じています。

 

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世界から集まった英語コースの医学部3年生縫合トレーニング

その後、外科基本手技トレーニングの授業に参加しました。近年、日本でもスキルラボを持った大学が増加し、欧米の医学教育に追いついたかのように思っていました。しかし、センメルワイス大学の授業は圧倒的でした。ひとコマ2時間+αの授業を10回行い、21時間にわたり縫合・結紮をトレーニングします。日本に帰国して初期研修医に確認した範囲では、医学生の授業でこのような手技の時間がない大学もあり、あっても1コマ(1.5時間)か2コマ(3時間)程度でした。これでは縫合はできるようになりません。日本では、スポンジやシリコンのような材料が主流ですが、センメルワイス大学での材料はブタの筋層~皮膚までを用います。このことで習得できる手技が飛躍的に多くなります。私が参加した日も、垂直および水平マットレス縫合、連続縫合、ロックをかけた連続縫合、真皮縫合、真皮連続縫合を行っていました。授業の最後には、学生同士で、縫合の出来栄えを評価・投票して、ミニコンペティションを行っています。出来上がりをみると、即戦力のあるレベルになっていました。学生全員にこのようなカリキュラムが提供されることで、内科系に進む人も縫合力が身に付きますし、外科系に進む人は、個人の適正も把握できるメリットもあると思います。

 

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授業の最後にお互いの出来栄えを評価・投票するミニコンペティション

私が医学生であった31~35年前ころ、国際医学生連盟の活動で世界の医学生の会議に3回出席し、フランクフルト大学で実習を行ってヨーロッパの医学生の考え方や医学教育を学びました。当時のヨーロッパの医学生はすでに日本の医学生よりも実技の習得を行っていましたが、それでも「頭でっかち」な医学教育を改善できるように活動していました。日本の大学も努力し、欧米に追いついてきた、と思っていましたが、実際は、まだその差は歴然としています。これからは、私達も努力して、日本の医学教育を欧米以上のものにしたいと感じました。

 

センメルワイス大学客員教授
国際医療福祉大学病院外科教授
吉田 昌

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