ブタペストに初めて降り立って以来二年の歳月が経ちました。私は一年目にブタペストの予備コースで学び、昨年九月にセンメルワイス大学に入学しました。
センメルワイス大学を含めハンガリーの医学部では一年次から医学生物・医学化学・医学物理といった基礎科目に加え、解剖学を学びます。そのため勉強はとにかくハードでした。特に解剖学は勉強の仕方に慣れるまでだいぶ試行錯誤し、自分なりの勉強方法を見出すまで時間がかかりました。毎日毎日勉強のことばかりを考えているような毎日でしたが、やっと医師への一歩を踏み出した喜びと「医師になりたい」という強い想いがここまで私を駆り立ててきたように思います。
私がここハンガリーで勉強をする大きなメリットの一つだと思うのは、やはり世界を身近に感じることが出来るということです。ヨーロッパ各国をはじめ、中東・アフリカ・アメリカ・アジアから集まってきた多くの留学生とともに学ぶということはそれ自体が非常におもしろいことです。多くの国から学生が集まっているため、学生の個性や勉強に対する姿勢も十人十様。その点大学の先生方も大変苦労なさっているようですが、真剣に勉強している学生には真摯に対応してくれる先生方もたくさんいらっしゃいます。英語コースはわざわざ母国をでて教育を受けに来た学生が集まっているためか、一生懸命やる人は本当に一生懸命勉強しています。私もそういった学生の姿勢に触発されることも多く、競争的ではありますが、互いに励まし合い、ときには協力しあいながら勉強してゆける環境があるように思います。ただしそういった環境は黙っていても手に入るものではありません。自ら求め行動することで構築されるものだということも頭に入れておいていただきたいと思います。
ハンガリーの医学部で英語で教育を受ける。このことは日本人の学生にとっては大きなメリットでありますが、一方で大きな困難を伴うということも事実です。私はハンガリーに来る前から英語が得意だったわけでもなく、英会話もまったく出来ない状態で来ました。大学の授業についていく為に必要な英語力は、事前の英語研修と予備コースに入って化学・生物・物理などの科目を懸命に勉強する中でついてきたように思います。「本当に英語で勉強していけるのか」と不安に思う人は多いと思いますが、本気で医師になりたいという想いをもって勉強を重ねていけるなら、英語という語学の壁は攻略可能だと思います。
また、ハンガリー人でセンメルワイス大学を卒業した方が日本の医師国家試験の受験資格を得て、見事、医師免許を取得した前例もあるので、ここで優秀な成績を収められれば、アメリカをはじめ世界各国で医師として働けるチャンスもあるようです。将来海外で医師として働きたいという人にはハンガリーの医学部は選択肢の一つとして考慮する価値のあるものだと私は思います。私個人としては、卒業後は日本に戻り日本で医師として働きたいと考えていますが、将来日本で医師をするにしろ、医学生のうちから世界との接点を持ち世界を意識して勉強することは、日本の医学部にいてはなかなか難しいことなのではないか思いますし、グローバリズムへの潮流がもはやとどまることのなかろう今後の世界で生きてゆく上でも、この「国際的視野」が自分の武器になるのではないかと考えています。受験生の皆さんには、日本で医学教育を受けるメリット・デメリット、ハンガリーで医学教育をうけるメリット・デメリット、それらをよく考え合わせた上で、自分自身の将来のビジョンに沿ったものを選び取っていただきたいと思います。 |
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